ロゴ石の話し
  index バック

サヌカイトの楽器
石を楽器に使うと言う発想は、石で何かを作っている者が一度はきっと抱いた事がある思いだろう。 密度の高い石材にノミをあてているとその打撃音がよく共鳴して響く石にめぐりあうからだ。 日本の古代には「石笛」と言うのがあってこれは手のひらにスッポリと入るぐらいの小さな小石の真ん中に穴が開いていて、横から唇を当て息を吹きつけると、ちょうどガラス瓶の口に息を吹き付けると瓶から音が出る要領で「石笛」も音をだすのだ。  演奏家もおられるのだが、自分でやってみるとなかなか難しい。 一方、中国には殷の時代に「磬」(ケイ)と言う石片をぶらさげて叩いて音をだすものがあったそうだが青銅製のものが出現してなくなったそうだ。

 

kei

 

 

左側の写真の雲の様な形の物は、京都大原の三千院で展示されている「磬」(ケイ)で、法具の一つ。

磬石(音のでる石)製と言うことだ。(サヌカイト)

 

 

同じく三千院のすぐ側の「実光院」と「宝泉院」には「声明」(しょうみょう)の調音に使用された、サヌカイト製の楽器があって見ることができる。

horn

 

上は、実光院の床の間に展示されている、「磬」(後ろ側)とシロホーン状(石琴)の「キン」。 下は、宝泉院の「キン」、側に小さな鎚が置いてあるのでそっと叩くと何れも澄んだ良い音がする。

 

 hou

 

その他にも石片を吊るして音階をとる「ソウ」、や自然石に切り込みを入れて響きをよくした「琅」(ロウ)がある。

 

rou

右側は自然石で自作の、「琅」を模したオブジェ。 左側は、実光院にある「編鐘」だが、元形は石製の「ソウ」かもしれない。 この形は中国の周代頃には作られていたそうだ。 日本では宮廷の雅楽用の楽器とか調音として使われていた様だが実光院では「声明」の調音用として使用されている。 音階が上記の「キン」とも共通で、高い音から「双調」「下無」「勝絶」「平調」「断金」「壱越」「上無」「神仙」「盤渉」「鸞鏡」「黄鐘」「ふ鐘」などと言う名前がついている。

ボタン

サヌカイトにサヌカイトと名前を付けたのはドイツ人のヴァインシェンク博士と言う人で、この石の発見場所を名前に付けて讃岐の石、サヌカイトとしたわけだが、この石をドイツに送って分析を依頼したのは、ナウマンと言う学者だそうで、あのナウマン象の化石を発見して名前を付けたナウマンだそうだ。

明治時代の東大の御用外人教授のナウマンは日本で初めて地質学を教えたのだが、同時に日本の地質も調査し、日本が弓なりの山脈が連なった列島であることを発見し、その中央部には大きな陥没地帯があることも発見してそれにホッサマグマと名前を付けたそうだ。

ボタン

サヌカイトは名前の由来どおり讃岐で採石される訳だが、その原石の分布は四国だけではなく大阪でも出土していて石器時代には矢じり、ナイフなど重要な道具として大阪府と奈良県の県境にある二上山の周辺で製造され製品は広範囲に運ばれていた。

虹

奈良県香芝市の二上山博物館に展示してあるサヌカイト・ホーン。 展示パネルのボタンを押すと録音されている童謡の演奏が聞ける。

原石
二上山博物館に展示されているサヌカイトの原石


チョッと道草です

京都の町には面白いものがあります。  東山山麓、高台寺の近くにある青龍寺(東山区下河原通り八坂鳥居前下がる)の境内には叩くとカンカンと金属的な音がする石がある。  説明では約800年程前に落下してきた隕石と言う事です。 同寺の本堂にも同じ様に音がする手で下げられるぐらいの大きさの石も在るらしいが一般には見せて無い。

 カンカン

「お賽銭が供えられているカンカン石、上にある小石で叩くと金属音がする」

 

seiryu

「青龍寺の門と左横の看板、念仏石・大隕石と書かれている」

 

ボタン

三千院の虹の間

三千院を訪れた時は紅葉の季節だった。 境内は紅葉が見ごろでしたが平日とあってあまり観光客も多くなくゆっくりと辺りを散策出来た。 お堂に「虹の間」と言うのがあるのを見つけた。 廊下から室内を見ると床の間に大きな掛け軸が掛かっていて「鵞」と書かれている。 解説によると、古来インドでは鵞鳥は太陽を象徴していて信仰の対象ともなっていたし、また、釈尊の指の間には水掻きがあるとされていて、そのことから釈尊は鵞鳥に例えられていて、鵞鳥の中の王、鵞王とも呼ばれる、とある。  掛け軸の掛かった床の間から目を左横の白襖に移すと、サアーと一筆で走らせた様な鮮やかな虹が描かれています。 太陽と虹、なかなか斬新な意匠のインテリアだと感心した。 

 

ga

 

その時、数年前に見た「京の町家」展1995、長沢英俊「横ぎる匂い」の斬新さに通じるものをふと感じた。 この作品は、町家の一室の襖と畳みをスパッと一刀両断にした痕跡を見せたもので、畳には切り跡、襖には墨跡がついていた。

 ボタン
資料:「サヌカイトの幻想」太陽の儀礼-ツトム・ヤマシタ CDディスク 校成出版社
    「河内飛鳥」門脇貞二・水野正好編 吉川文庫
    「瀬戸石街道」杉岡泰著 創風出版
     「よみがえる 二上山の3つの石」二上山博物館編
 

 


index  バック